「何がしたいか分からない」から「やってみたい」を見つける。立ち止まりを行動へ変えるレッスン
忙しい毎日の中で、ふと立ち止まることの重要性は理解できた。自分と向き合う時間を持った。でも、その次に何が来るのだろう。特に「何がしたいか分からない」という漠然とした不安を抱えている方にとって、立ち止まるだけでは物足りなく感じることもあるかもしれません。立ち止まって見つけたものが、次の行動にどう繋がるのか。この記事では、立ち止まることで得た気づきを、具体的な「やってみたい」という小さな一歩に変えていくための考え方とステップをご紹介します。
立ち止まりは「終わり」ではなく「始まり」
立ち止まることは、決して停滞や後退ではありません。それは、自分自身という羅針盤の現在地を確認し、これから進むべき方向を定めるための大切なプロセスです。忙しさの中で見えなくなっていた心の声や、小さな違和感、漠然とした興味といったものを拾い上げる時間です。
ここで得られた気づきは、まだ「やりたいこと」という明確な形になっていないかもしれません。それは、ただの「少し気になること」だったり、「こんな状態は嫌だ」という否定的な感情だったりするでしょう。しかし、それで良いのです。立ち止まりで見つけた「何か」は、あなたのこれからを形作るための原石です。この原石を磨き、行動へと繋げていくことが、次なるステップとなります。
立ち止まって見つけた「何か」を具体的に捉える
立ち止まって内省した結果、心に浮かんだ「何か」は、まだ漠然としていることが多いものです。これを具体的な行動に繋げるためには、まずはその「何か」を明確に捉える必要があります。
例えば、「今の仕事になんとなく違和感がある」「もっと人と関わる仕事がしてみたい気がする」「なぜか〇〇という分野の記事に目が行く」といった、あいまいな感覚かもしれません。
これを明確にするための方法として、「書き出し」が非常に有効です。
- 感じたことをそのまま書き出す: 頭の中で考えているだけでなく、ノートやメモアプリに書き出してみましょう。「何となく」「もしかしたら」「たぶん」といったあいまいな表現でも構いません。
- なぜそう感じるのかを問う: 「なぜ今の仕事に違和感があるのだろう？ 具体的にどんな点が？」「なぜ人と関わることに惹かれるのだろう？ どんな関わり方？」「〇〇という分野の何に興味があるのだろう？」など、自分自身に問いかけ、さらに深掘りして書き出します。
- キーワードやイメージを拾い上げる: 書き出した内容の中から、繰り返し出てくる言葉や、強く心に残るイメージに線を引いてみましょう。これが、あなたの内側から湧き上がってきた、大切なヒントです。
このプロセスを通じて、漠然としていた「何か」が、少しずつ輪郭を帯びてくるはずです。
「やってみたい」という小さな一歩に変える視点
明確になってきたキーワードやイメージは、まだ「やりたいこと」というには程遠いかもしれません。ここから、それを「やってみたい」という、もう少し身近で手触りのあるものに変えていきます。
重要なのは、完璧な「やりたいこと」を見つけようとしないことです。壮大な目標である必要はありません。「少し気になるから、やってみようかな」程度の軽い気持ちで十分です。
例えば、先ほどの例で「人と関わる仕事に惹かれる」というキーワードが出てきたとします。これを「やってみたい」に変えるためには、以下のような視点があります。
- 具体的な行動にブレークダウンする: 「人と関わる仕事」と一口に言っても、様々な形があります。営業、接客、教育、カウンセリング、イベント運営など。どんな形なら「やってみたい」と思えるかを具体的にイメージしてみましょう。
- ハードルを極限まで下げる: いきなり転職や起業を考える必要はありません。「人と関わる」ために、まずは社内の別部署の人とランチをしてみる、ボランティア活動の説明会に行ってみる、関連するオンライン講座を覗いてみる、など、金銭的・時間的・精神的なハードルが低い行動に変換します。
- 「お試し」の感覚を持つ: これからやろうとすることは、あくまで「お試し」です。それが自分に合うかどうか、楽しいと感じるかどうかを探るための実験だと考えましょう。合わなければ、やめれば良いのです。
このように、立ち止まって見つけた「何か」を、「具体的な行動」かつ「ハードルの低いお試し」という視点で捉え直すことで、「やってみたい」という実行可能な一歩が見えてきます。
最初の「やってみたい」を行動に移す
「やってみたい」という小さな一歩が見つかったら、次は実際に行動に移す番です。ここで多くの人が立ち止まってしまう壁は、「完璧に準備ができてから」「もっと情報が集まってから」という考えです。しかし、最初の小さな一歩は、準備不足でも完璧でなくても良いのです。
具体的な行動ステップの例:
- 情報収集の最小化: 興味のある分野について、まずは書籍を一冊読んでみる、関連するウェブサイトをいくつか見てみる、YouTubeで動画を一つ見てみる、といった、短時間でできる情報収集から始めましょう。
- 人に会ってみる: 興味のある分野で活躍している人、関連する活動をしている人に話を聞いてみる機会を探します。SNSで検索したり、イベントに参加したり、知人に紹介してもらったりするのも良い方法です。話を聞くだけでも、得られるものは大きいです。
- 小さな体験に参加する: 体験講座、ワークショップ、お試しイベントなど、気軽に参加できるものがないか探してみましょう。実際に体験することで、イメージがより具体的になります。
- アウトプットしてみる: 興味のあることについて、簡単な文章を書いてみる、SNSで発信してみる、絵を描いてみるなど、何か形にしてみることも、次への繋がりになります。
重要なのは、考えすぎず、まずは「やってみる」ことです。最初の一歩は、転んでも大丈夫なように小さく軽く設定しましょう。
行動を続ける中で見えてくるもの
立ち止まって見つけた「やってみたい」を行動に移し始めると、予期せなかった発見や、新たな疑問が生まれてきます。時には失敗したり、思ったほど面白くないと感じたりすることもあるでしょう。しかし、それらはすべて、あなたが自分自身の羅針盤を調整するための貴重な情報です。
行動する中で、「これは違うな」と分かったら、それは大きな収穫です。やらないと分からなかったことが明確になったのですから、方向転換すれば良いだけです。逆に、「これは面白い」「もっと知りたい」と感じたなら、その感覚を大切に、次の「やってみたい」に繋げていきます。
このように、「立ち止まって考える」→「小さく行動してみる」→「行動から気づきを得る」→「再び立ち止まって考える」というサイクルを繰り返すことで、あなたの「何がしたいか分からない」という霧は晴れていき、本当に心が惹かれる方向が少しずつ明らかになってくるはずです。
まとめ
忙しい毎日で立ち止まることは、自分自身と向き合い、内側にある声に耳を澄ませる大切な時間です。そこで見つけた漠然とした「何か」は、あなたの未来を形作る原石です。
その原石を、「なぜそう感じるのか？」と問いかけ、具体的に書き出すことで明確にしましょう。次に、それを「ハードルの低い、具体的なお試し行動」である「やってみたい」に変換します。そして、考えすぎずに最初の一歩を踏み出してみるのです。
行動する中で得られる経験や気づきは、あなたの羅針盤をさらに正確にします。このサイクルを続けることで、「何がしたいか分からない」という状態から、「これをやってみたい」「こっちの方向へ進んでみよう」という、自分らしい道筋がきっと見えてくるでしょう。立ち止まりは、素晴らしい行動への助走です。恐れずに、あなたの「やってみたい」を育て、現実へと繋げていきましょう。